少数株主権の一覧

非上場株式の売買価格決定裁判事例

株主が行使できる権利は、持っている株の比率によって決まります。以下は持株比率と行使できる権利の一覧ですが、少数株主に認められている権利は、実はこのように数多く存在します

例えば、議決権のたった1%を保有しているだけで株主総会の議案が提案できる権利を有しますし、3%を保有していれば、役員の解任請求や会計帳簿閲覧請求を会社に対して行うことができるのです。

しかし残念ながら、この権利をうまく活用できている少数株主は多くはありません。存在すら知らなかった、そんな方もいらっしゃいます。

株式売却サポートセンターでは、これら少数株主が持つ権利を最大限に活用し、ご依頼者様の、あるいは会社全体の利益の追求を目指します。

少数株主権について

株主の権利には、剰余金の配当を受ける権利など、会社から直接経済的利益を得ることを目的とする「自益権」と、会社の経営に参画することを目的とした「共益権」があります。

以下の表は少数株主の主な権利の一覧です。中でも株式売却に関係が深いものは、補足説明をしていますので、権利名をクリックしてご確認ください。

【少数株主の主な権利一覧】

代表的な権利については、会社法の条文をご紹介しています。権利名をクリックしてご覧ください。

議決権保有割合 株主の権利
単独株主権(1株以上の株式を保有する場合に行使できる権利)
【自益権】
剰余金の配当請求権
残余財産の分配請求権
単独株主権(1株以上の株式を保有する場合に行使できる権利)
【共益権】
定款閲覧謄写請求権
反対株主の株式買取請求権
株主名簿閲覧謄写請求権
募集株式発行差止請求権・自己株式の処分差止請求権
株主総会議事録閲覧謄写請求権
取締役会招集請求権
取締役会議事録閲覧謄写請求権
特別清算開始申立権
吸収合併契約等の閲覧謄写請求権
新設合併契約等の閲覧謄写請求権
株主総会決議取消の訴え
株主代表訴訟提起権
総株主の議決権の100分の1以上
または300個以上
株主総会の議案通知請求権
議決権の100分の1以上 株主総会の招集手続等に関する検査役選任請求権
議決権の100分の3以上
または
発行済株式総数の100分の3以上
業務執行に関する検査役選任請求権
清算人の解任請求権
役員(取締役、会計参与及び監査役)の解任請求権
議決権の100分の3以上 役員等の責任軽減への異議権
議決権の100分の10以上
または発行済株式総数の100分の10以上
会社解散請求権

会社法第182条会社が一定の定款変更、譲渡資産額20%超の事業譲渡、株式交換、株式移転などを行う場合など、それに反対する株主が会社に対して保有する株式を買い取ることを請求できる権利です。

株式買取請求権の講師による買取価格は「公正な価格」と定められているのみで、具体的な算定方法の定めはありません。

TBS(東京放送)が放送法の認定持株会社に移行する議案に反対した楽天が、株式買取請求権を取得した事例があります。(2008年12月17日付日本経済新聞12面)

会社法第182条上記の株式買取請求後、株式の価格の決定について効力発生日から30日以内に協議が整わない場合には、裁判所に対して価格の決定を申立てることができます。

会社法第303条・304条・305条株主総会の決議に関する事項を提案する権利があります。具体的には以下の3つに分かれます。

  1. 議題提案権
    株主総会の目的である「取締役選任の件」、「定款一部変更の件」などの「議題」を提案することができます。
  2. 議案提案権
    株主総会の目的である議題に関する具体的な提案をすることができます。
  3. 議案通知請求権

株主総会の目的「議題」の提案、議案に関する具体的な提案である「議案」の提案、議案を事前に他の株主に通知する「議案通知」の請求といった、決議に関する事項を提案する権利があります。

会社法第360条会社法では、「取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。」と定めています。

取締役などの役員が、法令や定款に違反する行為をしたり、職務を怠った場合、本来は会社がその役員に対して損害賠償を請求することが原則です。しかし、代表取締役と会社の関係から、責任の追及が十分に行われるとは断言できません。したがって、会社に代わって取締役の違法行為の差止を請求することが株主の権利として認められています。

会社法第433条3%以上の株式を保有する株主は「会計帳簿又はこれに関する資料」の閲覧を求める権利を有しています。“会計帳簿”とは、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳が代表的なもので、“これに関する資料”とは、契約書、請求書、領収書、発注書、納品書などが挙げられます。

非上場株式を売却する際、少数株主と発行会社の株価の主張が異なる場面などで、頻繁に活用される権利です。会計帳簿を元に、発行会社が主張する株価に根拠があるのかどうかを調査します。

なお会社は、正当な理由があれば閲覧請求を拒絶することができます。拒絶できる理由として会社法第433号では以下と定めていますが、つまり「この権利を濫用されると会社の利益が侵害される場合」に拒絶することができるとしています。

  1. 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
  2. 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
  3. 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
  4. 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
  5. 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

会社法第297条株主総会は原則として、代表取締役が招集するものですが、会社法では、招集株主も株主総会の招集ができるとしています。代表取締役等の役員によってワンマン経営が行われている、取締役に不正行為がある、といった場合には取締役が株主総会の招集を怠ることがあることから、少数株主の権利として、株主総会招集請求権があります。

株主総会招集請求権は以下の方法で行使ができます。

  1. 取締役に対して、株主総会の目的である事項と招集の理由を示して、株主総会の招集を請求する。
  2. 請求した株主は、次の場合には裁判所の許可を得て株主総会を招集できる。*請求後、遅滞なく招集手続きが行われない場合*請求があった日から8週間(定款への記載で短縮可能)以内の日を会日とする総会招集の通知が発せられない場合

非上場株式の売却なら、
まずはお気軽にお問い合わせください。